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[クライオポンプの技術情報 3 ]
急速低温再生・・・再生時間の短縮
原理
スパッタ装置のように、クライオポンプの再生サイクルがアルゴンに対する排気容量で決定されている場合は、クライオポンプからアルゴンと水素のみを排出すれば、再び排気可能な状態にすることができる。
水素は50K以上に温度を上げれば容易に気体となり放出される。アルゴンは100K以上に温度を上げれば液化する。気体の水素と液体のアルゴンをクライオポンプを低温状態に保持したまま排出することにより、クライオポンプを再生する方法が急速低温再生である。
但し、水はポンプ内に氷として残されるため(水のため込み量が多くなってきたら室温まで昇温させる)通常の再生が必要である。
低温再生の実施には、クライオポンプから液化ガスを排出する機構が必要である。 (図2-1)
低温再生は、室温まで昇温させる必要がないので、短時間の昇温で済み、しかも、冷却も低温状態から開始するため著しく再生時間を短縮できる。
12型のクライオポンプで行った急速低温再生の実験例では、クライオポンプを停止してから1時間以内に再び排気可能な状態にできている。この例のように、急速低温再生により、スパッタ装置では再生時間を大幅に短縮することが可能である。(通常の1/4~1/5の時間)
さらに、スパッタ装置以外でも水以外の凝縮性の気体によって再生サイクルが決まっている場合では、再生時間を大幅に短縮できる有力な手段となる。
図2-1.急速低温再生の排気系例
HVP:水素蒸気圧温度計 | PG4:真空槽用電離真空計 | V4:粗引きバルブ |
PG1:クライオポンプ用ピラニー真空計 | V1:主バルブ | GV:ゲートバルブ(Ar放出バルブ) |
PG2:クライオポンプ用電離真空計 | V2:クライオポンプ粗引きバルブ | VV:放出バルブ |
PG3:真空槽用ピラニー真空計 | V3:真空槽粗引きバルブ | PV:導入バルブ |
図2-2.急速低温再生と通常再生の比較